竹口 智之(たけぐち ともゆき)

概要

日本語教育
外国人児童に対する言語教育や教科学習のあり方を考えております。彼らにとっては日本語は手段やツールであり、「目的」では決してありません。日々取り組んでいる生徒が、日本語で自己実現ができるような教育をするにはどうすればいいかを考えていきたいと思います。あわせて、彼らが関係性を維持・形成するには、どのような母語教育が必要かも考察しなければなりません。さらに、研究対象は生徒だけではなく、教員や学校関係者も含まれます。彼らが異文化にどのような眼差しを持ち、気づきを得ていったかも、あわせて分析していきたいと思います。

研究キーワード

  • 日本語教育
  • 社会言語学
  • 日本語教育史
  • 動機づけ
  • 複線径路等至性アプローチ
  • 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ

メッセージ

みなさんが学んできた「国語」とは全く異なった方法で、日本語を学ぼうとしている子どもたちがいます。そしてそれは何も外国だけにいるわけではありません。子供たちの日本語学習を少しでも楽しいものにできるよう、一緒に考えてみませんか?

研究事例

研究内容①日本語学習者動機づけ研究

学習活動が手段化した「外発的動機づけ」はこれまで「自律性が低い動機づけ」として位置づけられ、学習活動が目的化となった「内発的動機づけ」に近づけることが理想とされていた。この10年間のインタビュー調査、及び質問紙調査から、学習活動が手段的であっても自律性が高いものであることを立証している。特にインタビュー調査では、学習者が置かれた状況や、どのような人間関係を築いたかによって、動機づけが大きく変化することが明らかになった。

研究内容②ロシア極東地域の日本語教育史

国境を接しているロシア極東地域の日本語教育がどのように勃興したか、関係者のインタビューを通して明らかにしている。対象となった地域は、ユジノサハリンスク市(サハリン州)、ハバロフスク市(ハバロフスク州)、ウラジオストク市(沿海地方)である。この地域に在住している(していた)、学生・教員(元も含む)を対象にインタビューを行った。一連のインタビューから、彼らが日本語を学ぶこと、教えることによって「理想的自己」に近づこうとしていることが明らかになった。

研究内容③社会文脈的視点を取り入れた研究計画書執筆過程

予備教育機関に在籍する大学院進学希望留学生が、いかなる経緯で研究計画書を作成し、提出したかを分析したものである。分析の結果、以下のことが明らかになった。まず、入学前に〔日常での気づき〕があるかないかによって、その後の執筆への取り組みが異なることである。次に3名は大学院受験や研究計画書執筆に際し、母国の入試システムの違いや、それまで求められていた記述(多くは「作文」の授業)とは次元が異なるものであることである。

その他

  • 教科書
    陣内正敬・森本郁代・阿部美恵子・笹井香・竹口智之(2010年4月)『時事外来語で日本理解―大学からの超級カタカナ語』関西学院大学出版.
  • 文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(C))「ロシア極東地域における日本語教育の歴史的背景と現状に関する基礎的研究」
    2018年4月 – 2021年3月(研究代表:竹口智之)

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