西田 太郎(にしだ たろう)
概要
国語教育・国文学
読みの学習における社会文化的な文脈に着目した学習デザインの提案を目指しています。ここでの学習デザインは、自己とテクストと他者の関係から生まれる文脈を捉え、学習集団内の相互作用を通じた教室での読みを実現するものです。文学教材(詩や絵本を含む)研究に基づく問いの検討、学習者の課題意識を活かした学習展開、交流環境の工夫といった視点からの研究活動を行っています。
研究キーワード
- 国語教育
- 文学教育
- 初等中等教育
- 読みの交流
- 社会文化的アプローチ
- メタ認知
- 問いづくり
メッセージ
教室で文学教材を読むことには、どのような意義があるのでしょうか。ことばを通して、ことばで考え、ことばを学ぶ子どもたちの姿から、一緒に答えを探していきましょう。
研究事例
事例①社会文化的な文脈に着目した読みの交流の学習デザインに関する研究
読みの交流は、異なる媒介手段を混同した学習者の行為の状況をもつ。異なる媒介手段を用いた学習者は、解釈形成に向かう《読者》の立場と、他者との話し合いへ向かう《参加者》の立場によって集団の文脈を生み出している。このような読みの交流における社会文化的相互作用の状況を踏まえた学習デザインを提案している。
事例②文学テクストの読みにおける学習者の〈問い〉に関する研究
学習者が文学テクストに対する解釈を形成し交流するには、学習者自身に読みを推進するための〈問い〉がなければならない。〈問い〉は与えられて内在化することもあるが、自ら立てることができればより有効な学習につながる可能性がある。そこで、個々の学習者が〈問い〉をもち、集団での検討を通してテクストを価値付ける〈問い〉を追究していく言語活動(〈問い〉づくり)を提案している。
事例③読みの交流に求められる交流環境の研究
文学テクストの読みに想定されるメタ認知的活動を基に、読みの交流における交流環境を提案した研究である。読みの交流での参加・離脱を学習者に委ねることによって、解釈形成の連続性の中でメタ認知的活動を担保することができる。本研究ではこのような交流環境を「自立参加型」と呼び、アフォーダンスシステムとして機能する形を整えている。
その他
- 博士論文「社会文化的な文脈に着目した読みの交流の学習デザイン」,日本体育大学,2021年
- 松本修・西田太郎『小学校国語科〈問い〉づくりと読みの交流の学習デザイン』,明治図書,2020年
- 「メタ認知的活動を意図した文学の読みの学習」『国語科教育』,全国大学国語教育学会,第83集,33-41,2018年